春立つ日に詠む(3)和漢朗詠集より

3.東の風が吹くと

粘葉本和漢朗詠集 二玄社 祥香臨

 「池凍東頭風度解 窓梅北面雪封寒

読み下し文は、「池の凍(こほり)の東頭は風渡って解く
        窓の梅の北面は雪封じて寒し」

意味は、池に貼っていた氷も、立春に東風が吹き渡ると解け始めるけれども、北面の窓の梅は雪に閉ざされてまだ寒いままだ。

東風は春風の意味で、春に東の方から吹いてくる風です。「東風吹かば匂いおこせよ梅の花」(拾遺和歌集)はよく知られています。春はまだ寒い日も多く、油断ができませんが、梅の花は耐えているのですね。

 参考文献:和漢朗詠集 川口久雄 講談社