菖蒲は邪気を払うので(2)建礼門院右京大夫集
2.時忠よりの薬玉
「五月五日、宮の権大夫時忠のもとより、薬玉まきたるはこのふたに、菖蒲の薄様しきて,おなじ薄葉に書きて、なべてならずながき根をまゐらせて」
用字を「五月五日宮の権大夫時忠のもとよ利
薬玉ま起多る盤こ能布堂に菖蒲
の薄様しきて於なしう須やう
耳書支傳な遍天なら春那可支
根をま井羅せ弖」
貴人に贈り物をするときは、箱の蓋に入れる慣習があったので、「薬玉まきたるはこの蓋に」と記述があります。そして、勝負の根の長さを競ったり(根合せの行事)、長寿を願う呪いとして献上しました。
現代から考えると、何とも奇妙な感じがします。色とりどりの薬玉が糸を垂らして匂い豊かに掛けれていたら、神妙な心持ちになり邪気が払われるように思ったことでしょう。
参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社