菖蒲は邪気を払うので(1)建礼門院右京大夫集

1.五月五日は

建礼門院右京大夫集  祥香書

五月五日は五節句の一つで菖蒲の日ともあやめの日とも言われます。古くから、菖蒲は邪気を払うとされ、宮中では内薬司と典薬寮から献上されました。かつては、菖蒲は「あやめ」とも呼ばれていましたが、アヤメ科のアヤメやハナショウブの類とは葉の形が似るだけで全くの別種です。

菖蒲は、サトイモ科の多年生草本。根茎は水底の泥中に横たわり、葉は長剣状で80センチメートル余あります。宮中での行事にならい、一般にも贈答が行われました。軒に挿し袖にかけて延命長寿を願いました。

また、薬玉は邪気を避け、不浄を払う具として簾や柱にかけたり、身に付けたものです。麝香(じゃこう)沈香(じんこう)丁子(ちょうじ)などを玉にして綿の袋に入れました。

現代でも、5月五日に菖蒲湯をしたり、運動会ではくす玉を割ったりしていますが、古から来ているのだと思うと感慨深いものがあります。
 参考文献;建礼門院右京大夫集 新潮社