御所の近くが火事に(2)建礼門院右京大夫集

2.火事だというのに・・

建礼門院右京大夫集  祥香書

建礼門院右京大夫は、すぐ近くで火事だというのに、警固の方々は凛々しいわ、などと書いているのです。

 「大将をはじめて、衛府のつかさのけしきども、心々におもしろく見えしに、おほかたの世のさわぎも、ほかにはかかることあらじと覚えしも、わすれがたし。」

「大将」とは、「小松におとど」として登場済みの平重盛です。
「衛府」は、宮中を警固する官庁です。

そして、「おほかたの世のさわぎ」は、火事のような一般にもおこる騒動ですが、「ほかにはかかることあらじとおぼえし」で宮中以外では立派だとは思わないので、忘れることができない、と述べています。

純粋な憧れが、建礼門院右京大夫の瞳を輝かせているのか、いまだ全てがうるわしく見えるのかは分かりません。ただ、ウキウキした様子が伝わりまってきます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 新潮社