すみれ山吹、春の暮(2)建礼門院右京大夫集より
2.ところどころの山吹
「所々に咲いている山吹」を題とし、歌を詠みます。
「我がやどの八重やまぶきの夕ばえに
井手のわたりも見る心ちして」
選字は、「我可やとの八重やま布きの夕
はえ耳井手のわ多里も見る
心千志て」
「井手のわたり」は京都府綴喜郡にあり、山吹と蛙の名所であることから歌枕となっています。意味は、私の家の八重山吹が夕日の中で輝いて、まるで「井手のわたり」の山吹を見ているようです。」
古今集にも、「井手」が読まれていることから、名高い所だったのでしょう。
「かはづ鳴く井手の山吹散りにけり花のさかりにあは増しものを」(よみ人知らず)*①
*出典:①建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社