自然のいとなみを詠う(4)建礼門院右京大夫集から

4.山田の苗代

建礼門院右京大夫集  祥香書

今回は、「山田の苗代」の題です。
 「やまざとは門田の小田の苗代に
  やがてかけひの 水まかせつつ」

選字を「やま佐と者門田の乎多能苗代爾
    屋かて可希比農三つま可勢川
    徒」

歌意は、「ここ山里は門の前の苗代田に筧の水をそのまま落とす。」*①
おもしろみが、「筧の水」(飲み水を引く)をそのまま使い田に使うところにあります。
  
  *出典:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社