帝の御笛をほめたのに(2)建礼門院右京大夫

2.帝の笛をほめちぎる

建礼門院右京大夫集  祥香書

釈文:「いつの年にか、月明かりし夜、上の御笛ふかせおはしまししが、ことにおもしろく聞こえしを、めでまゐらすれば、『かたくなはしきほどなる』と、この御方にわたらせおはしま

してのちに、語りまゐらせさせ給ひたりけるを、『それはそら事を申すぞ』とおほせ事あるとありしかば、」

意味は、「いつだったでしょうか。月が明るい夜に、帝が御笛を吹いていらしたその音色が、ことのほか心ひかれて聞こえました。そのことを中宮様に申し上げたところ、『聞いていられないほどの褒めようですね。』とおっしゃいました。

帝がおいでになられた時、その話をなさったところ、『それは、建礼門院右京大夫が嘘をついているのです。』と帝がおっしゃったということでした。」

ここから、建礼門院右京大夫の一人舞台が始まりますので、乞うご期待です。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江 新潮社