若き維盛の警固姿に(1)建礼門院右京大夫は
1.平家の若武者
再び、頭中将実宗が現れ、4月のお祭りの頃、平家の若武者に声をかけます。
「おなじ人の、四月みあれの頃、藤壺にまゐりて物語せしをり、権亮藤壺のと
ほりしを呼びとめて、「このほどに、いづくにてまれ、心とけて遊ばむと思ふ
を、かならず申さむ」などいひ契りて少将はとく立たれにしが、少し立ちのき
て見やらるるほどに立たれたりし、二藍の色濃き直衣、指貫、、若楓の衣、そ
の頃の単衣、つねの異なれど、色ことに見えて、警固の姿、まことに絵物語いひたてたるやうにうつくしく見えしを、」*①
平維盛の若き日の凛々しいお姿に、頭中将実宗は同性ながら見惚れてしまいます。警護の姿の鮮やかさが語られます。
*出典:①建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社