雲の上にひかり見る-建礼門院右京大夫(2)

2.美しいお姿に見とれる

建礼門院右京大夫集  祥香書

語彙注:おほんひきなほし:御引直衣で裾を長く引いた天皇の平常服

物の具:朝服。女子は普通、唐衣、裳、表着、五衣をつける礼装

現代語訳:高倉天皇が御在位の頃、承安四年であったでしょうか、正月一日に、中宮のもとへ主上(天皇の敬称)がおいでになり、御引直衣のお姿、中宮の一揃いの御礼装の様子などが、いつものことながら

高倉天皇は平常服で、中宮は礼装をお召しになられて迎えられる、お二人のお姿はまさに絵画のように読者を宮廷の美しく華やかな場へと誘います。

建礼門院右京大夫はこの時、視点は読者側に寄り添いながら、次第に自らが只中にいる驚きと喜びに満たされていくのです。
   
  参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社