「六つのみちを」道元は(1)

1.六つのみち
「六つのみち」とは、仏教でいう地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道の六つの世界です。人間衆生は煩悩にふりまわされ、かつ現世でおこなった所業のむくいを受け

て、この六道に生死をくりかえすというが、天道を除いてはいずれも苦悩と迷いの世界です。仏教の悟りをひらいて涅槃するということは、六道輪廻から解脱し、仏国土に永遠の生をうることを意味するのです。

六道のうち、地獄・餓鬼・畜生を三悪道と呼び、平安末の天災が起きた頃から、「六道絵」の中に、凄惨な情景が描かれました。*①

寺院に掛けられた六道絵をご覧になった方もおられると思います。幼少の頃に観て、怖い思いをしたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「六つのみち」の和歌を道元が詠んでいますので、次回はそのことをみていきましょう。

                     *出典:①道元の和歌 松本章男