鎌倉にて道元が詠む(3)

3.道元自筆の山水経

道元真筆 「山水経」「正法眼蔵」 愛知 全久院蔵    祥香臨

ここに道元の真意が表されています。現代語訳をみますと、
「いま、われわれの目の前にある山水は、古物の説法そのものにほかならない。古仏も山水も、ともにそれがいまある、そのあり方において真実を究め尽くしている。この世界の

成立する以前の世界のあり方が、いまなお連綿として現在に活きているのだ。いまだいかなる事物も生起する兆しすらないときの自己であるが故に、時間を超越して、いまここに顕現している。

山の様相は広大、無辺であって、道徳は山から雲に乗って到来し、自在なる働きは山からの風に順って顕現する。」*①

われわれが生まれるずっと以前から厳然として現れている山河は、私たちがこの身を私のものであると、思う前からあったのです。それは、そのまま一切の全てが何の過不足なくそこにあるということを示しています。

             *①出典:正法眼蔵 ひろさちや NHK出版