「月よみの光を・・」良寛の和歌(1)
1良寛の和歌でよく知られている
「月よみの光を待ちて帰りませ君が家路は遠からなくに」
これは良寛がその場で作った即興の歌と言われています。
秋の涼夜に乗じて阿部定珍が五合庵を訪れ、風雅の話に興じているうちに夜が更けてきます。いざ帰ろうとしますが、月はまだ上らずほの暗いのです。
「暫くは此処にとまらむひさかたの後には月の出むと思へば」(定珍)
と読んだ定珍に対し、良寛が応えた歌が前述のものです。
「月よみ乃光をまちて帰利
ませ記美可家路者と遠
可らなく耳」
良寛の相手を思う気持ちが伝わる歌です。
また、書はゆったりとした動きがほのぼのとした趣があります。
*出典:①良寛歌集 渡辺秀英 木耳社