良寛さんの書「天上大風」(2)
2. 良寛は「秋萩帖」を学んだ
上記は、良寛さんが臨書をして学んだと言われる「秋萩帖」を臨書したものです。
釈文:「あきはぎのしたばい(ろ)
づくいまよりそひ
とりあるひとの
いねがてにする
なきわたるかりの(な)
ふだやおちつら
むものもふやどの
はぎのうへのつゆ」*①
「秋萩帖」は草仮名の遺品として江戸時代には多くの模刻本が作られるなど、早くから著名です。草仮名は、男手(万葉仮名・真仮名)でもなく女手でもない仮名(『宇津保
物語』国譲上)であるといわれています。
より流麗に美しく書くために、行書体の仮名から草書体で書かれるようになって生まれたものです。柔らかさの中に、優雅さがある書体であると思います。
おそらく、良寛さんも模刻本を手にしていたのでしょう。
一行目の一字目「あ」は字母「安」の筆意をとどめて、単純な筆遣いでは表現できないものがあります。
もう少し詳しく「秋萩帖」を見ていきましょう。
*出典:秋萩帖 伝小野道風 二玄社