一条摂政集をご存知ですか(2)

2. 一条摂政集は誰が書いたのでしょうか Who is the writer of Ichijousessyousyu?

江戸時代の極札(古筆などを鑑定した結果を短冊型の小札にしるしたもの)等では本文
を西行(1118〜90)、表紙・巻末二首を藤原定家(1162〜1241)の筆跡として伝え
ています。

そのうち、定家筆とされる部分は、定家の若い時代の書と思われます。伝西行とされる
ところは、他の伝存品と比較して近年、明らかになってきました。俊成の書写スタッフによって書かれ、定家も関わった写本であると考えられています。*

ここで、藤原俊成(1114〜1204)をご紹介します。平安末期の歌人で、定家の父です。
いわゆる幽玄体のスタイルを確立し、新古今集以下勅撰集に四百首余り載っています。
それほどの方が、集めた能書のメンバーが書写をしただけあって、実に自然な書き振り
で、一条摂政集が今も愛される所以と思われます。

また、一条摂政集は縦13cm、横12.3cmの枡形の小さい本です。装丁は料紙を四枚重ね
折にして、それを十四折重ねたものです。紙は、素紙が用いられています。

       *参考文献:「一条摂政集」伝西行  解説 名児耶 明 二玄社刊