継色紙を臨書してみた(2)教養としての古筆シリーズ+古典に親しむ

2. 筆者は小野道風? The writer was Mr.Ono?
筆者は、小野道風(894〜966)と伝えられておりますが、確証は無く
異なります。小野道風は、藤原佐理(すけまさ)藤原行成(ゆきなり)
とともに三蹟と称される能筆家です。真跡として「屏風土代」「玉泉帖」
などがありますが、仮名の作品は未だ発見されておりません。

というわけで、小野道風ではありません。

継色紙は選字に草仮名の香りがすることなどから、十世紀半ばの成立と考えられます。

継色紙の特徴として、散らし書きが挙げられます。
散らしは行頭を揃えずに、行の長さを変えたり、行間も一律にせず、広いところと
狭いところと配置して書くものです。

上の臨書を見ても余白への働きかけが独特です。自由に付置を変えて楽しんでいる
ようにも感じられます。線の細太がはっきりとしていて、メリハリがあります。

こうした仮名が関戸本古今集や寸松庵色紙よりも以前に完成していたということは、
驚きですが、新鮮でもあります。現代に通じるものを感ずる古筆のひとつです。