10B鉛筆でかな古筆を書く(3)

3.大胆な展開 A Bold Development
三句:さくらめど

この句には、物の名、隠題(かくしだい)とも言われる技法を
用いています。それは、『さくらめど』に咲くの意味と桜という
物を隠しているわけです。

『さ』は『左』の草書を簡略化したものです。
『く』は『九』を用いて下部を収めています。

大胆な展開はこの二行目の上です。
『ら』は『羅』と大きく複雑な文字を持ってきて、さらに、
『め』は『面』で字幅を広げていきます。
『と』は『止』を簡略にしたものですが、草書体とは異なる
部分もあります。

現代でも関戸本古今集は臨書を学ぶ方が多くおられるのですが、
こうした大胆な選字と表現が魅力だと思われます。