10B鉛筆でかな古筆を書く(2)
2.二句め the Second phrase
おなじむかしに
『お』は馴染みのある字でそのまま読めると思います。
でも、『於』が元の字であることはあまり知られていない
でしょう。点の位置や傾きなどで、変化がつけられます。
『な』は『奈』の字の草書体からきています。中国の草書体
と比べて、日本でいくらか変形したものと言えるでしょう。
『じ』は『し』と書きますが、古典では、濁音を表記しない
ことが通例です。元の字は、『之』で『し』は草書体です。
かの有名な王義之が『十七帖』において、全て異なる『之』
を書いたことは知られています。
『む』は『武』のやはり草書体で、王羲之にも用例がみら
れます。『し』を受けて大きく展開しています。
『か』は『加』が元の字ですが、最後の点を日本では簡略化
したものと思われます。
『し』は『之』ですが、終筆の向きに変化をつけています。
『に』は『爾」を元とし、古代中国の草書に見られるそうです。
『爾』は漢音で『ジ』、呉音では『ニ』と読むことから、使わ
れたものと思われます。