藤原佐理書状(9)離洛状を臨書して
9.不参之
釈文:「不参之勘責」
鑑賞:「不」かなの「ふ」の元字である。粘り強い線質からは、やわらかい平かなを想起させない。大字かなにおいて用いられるような「かな」である。
「参」頭部は空間を包みながら無駄がなく、下部の密になった構成が対比となり独特である。「之」上の字を受けて、下の字へ繋がる連携が絶妙である。行の動きが心地よい。
「勘」はまだ字が表れていない左の余白へ働きかける準備が整っているかのようである。隣の行との呼応が巧みである。
参考文献:藤原佐理集 二玄社


