穂積皇子と但馬皇女との悲恋(7)金沢本万葉集から

7.人ことを
原文は「人事乎繁美許知痛美己母世爾未渡 朝川渡」

書き下し文は「 人事乎(ひとことを)繁美許知痛美(しげみにいたみ) 己母世爾(おのかに) 朝川渡(あさかわわたる)」

歌意は「世間の噂がはげしいので、生涯で渡ったことのない朝川を渡ってゆく。」

語釈:「人言を繁み」世間の噂がひどく、胸にいたくこたえる。「己が世に」これまでの生涯に、いまだ渡ったことのない朝川を渡る意だが、その意味は判然としない。

参考文献:万葉秀歌(一)久松潜一著 講談社学術文庫