天皇と鏡王女との相聞歌(3)金沢本を臨書して

3.天皇への返歌
釈文:「鏡王女奉和御歌一首 秋山之樹下隠逝水乃吾許曽益目 御念従者」

書き下し文は「秋山之(あきやまの)樹下隠(このしたかくり)逝水乃(ゆくみづの) 吾許曽益目(われこそまさめ) 御念従者(みおもひよりは)」

語釈:「樹の下隠り」樹の下の見えない所を行く。「逝く水の」ここまでの三句は「益す」にかかる。下を流れる水が次第に増えるように思いが増すこと。

参考文献:万葉秀歌(一) 久松潜一著 講談社学術文庫