万葉集の相聞歌(13)金沢本を臨書して

13.君をば
釈文:「居明かして君をば待たむぬばたまの わが黒髪に霜はおくとも」

選字は「ゐあ可してき見をはま多むぬ者たまの わ可久ろ可み爾しもは於久と无」

特徴:「字の大小と疎密」自然な流れの中で文字の代償を盛り込みながら動きを出している。例えば、「き見を」では「見」で懐広く広げた字の中に「を」を入れて密をつくる。

その後の「は」はゆったりと優美に偏を長くして疎として「ま多」ではたたみ込むように密を構成する。選字も変体かなは少なく平易である。

参考文献:金沢本万葉集 藤原定信筆 二玄社