北の方の沈黙(1)和泉式部日記を書いて
1.御姉からの文
釈文:「北の方の御姉、春宮の女御にてさぶらひ給ふ。里にものし給ふほどにて、御文あり。いかにもこのごろ、人の言ふことはまことか」
選字は「北の方の御姉春宮能女御耳て佐布ら比多 ま婦里爾裳能し多万不ほと二て御文 阿り以可爾裳故農こ露人乃言布こと八 満ことか」
鑑賞:「北の方の御姉」藤原済時女、誠子。当時皇太子であった居貞親王(後の三条院)の北の方。よって春宮の女御と呼ばれた。
「里」は済時邸だが、すでに他界していたので、実質的に誠子が当主だった。
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社
