のどやかに降る雨(3)和泉式部日記から

3.こうなっては
釈文:「かくては本意のままにもなりぬばかりぞかし、と思ふに、悲しくて、ものもきこえで、つくづくと泣く気色を、ご覧じて」

選字は「か久天盤 本意能まヽ耳毛那里ぬ者可梨曽可志と 於も布二悲し具て裳能毛支故盈 亭徒具ヽヽ度泣久遣斯支越御覧志て」

鑑賞:「かくては」宮が出家の意志を示されたので、実際にそうなった場合、女にも元々その願望があったため出家しないわけにはいかない。


そうなると、二人の関係は終焉を迎えることを意味する。女は想像すれば悲しくて、涙にくれるのであった。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社