物思ひせず心のどかな日(2)和泉式部日記を書いて
2.無性に思ひが
釈文:「御物忌みすぎぬれば、例の所に帰りて、けふはつねよりも名残り恋しう思ひ出でられて、わりなくおぼゆれば、きこゆ」
選字は「御物忌み寸きぬ連八例の所爾帰 利傳希ふ者徒年より毛名残利恋しう 思比出て羅連て王梨奈久於本ゆれ者支こ遊」
鑑賞:「例の所」女の住まい。「わりなくおぼゆれば」無性に宮への思いが高まり。
大意は「宮さまの物忌みが過ぎたので、女の家へ戻って、今日はいつもよりも名残惜しく恋しく思われて、無性に宮への思いが高まった。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社
