時雨の紅葉・風の前なる(15)和泉式部日記を書いて

15.方ふたがりなので
釈文:「とて、その日も暮れぬえば、おはしまして、こなたのふたがれば、しのびて、ゐておはします。」

選字は「とて楚農ひ毛暮れぬ連八於者し まし亭こ那多農布堂可れ盤 志能飛てゐ天おはしま春」

鑑賞:「こなたのふたがれば」女の家が方塞がりなので。「方蓋(かたふた)がり」は陰陽道(おんようどう)で天一神(なかがみ)や大将軍などのいる方角を凶として忌むこと。

大意:「暮れてからいらした宮は女の家が、方塞がりなので、宮は女を連れて出かけられた。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社