時雨の紅葉・風の前なる(13)和泉式部日記を書いて

13.車に乗りて
釈文:「山べにも車に乗りて行くべきに 高瀬の舟はいかがよすべき」

選字は「山遍耳も倶るまに農利て行久へ支二 多かせの布年八意可閑よ須邉支」

鑑賞:「さはることありて」といって拒んだことに宮はこだわっていた。山の紅葉を見るのに、高瀬の舟を寄せられるのでしょうか。女の「高瀬舟」の歌語だけをとらえているが、実際は「うつろはぬ」の歌の返歌となっている。

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫