時雨の紅葉・風の前なる(2)和泉式部日記を書いて

2.けふは物忌み
釈文:「その日になりて、『けふは物忌み』ときこえて止たれば、『あなくち惜し。これすぐしてはかならず』とあるに、その夜の時雨、つねよりも木々の木の葉埃ありげもなくきこゆるに」

選字は「その日爾なりて介希者忌みと支こえて度ヽまり堂れ者あ奈九遅惜し古れ春久志て盤可那ら寸と阿る二曽の夜農時雨つ年よ利も木々の木乃葉残りあり希毛奈倶支こ遊る耳」

鑑賞:「物忌み」穢れを忌んで家に籠ること。
大意は「その日がやってきたが、女が物忌みだと言ってゆかない。その夜の時雨はいつもよりも激しくて木の葉が残っているかと気がかりでならない」


参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社