恋しさのます塩焼き衣(9)和泉式部日記から
9.なさけを知る人
釈文:「ときこえさするさま、なさけなからずをかし、とおぼす。宮の御さま、いとめでたし。」
選字は「度きこ盈さ寸類沙まなさ希那可ら春 越可しと於本寸宮の御さ万意登めて堂志」
鑑賞:「なさけなからずをかし」なさけを知って心ひかれる。宮の下の句に、女が返した上の句は宮の心をくすぐるのに十分なほど、控えめな心持ちを見事に詠んでいる。
やはり側において、言葉を交わしたいものだ、と宮の気持ちは動いている。
参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫