行書般若心経-真実不虚(2)集字般若心経より
2.四つの呪
釈文:「是大明呪。 是無上呪。 是無等等呪。」
書き下し文は「是れ大明呪なり。是れ無上呪なり。是れ無等等呪なり。」
鑑賞:先に述べた大神呪とあわせて、上記の大明呪、無上呪、無等等呪の四つの呪の名をあげたものである。それぞれ、「大神呪」は声聞の真言、悪魔をも降伏する神力を持つ。
「大明呪」はの縁覚の真言で、智慧の光明が輝き、愚痴の闇を破る般若の徳をいう。「無上呪」とは大乗の真言で宇宙の真理をあらわす。最後の「無等等呪」は秘密蔵の真言、これに等しいものがないのと同じという最高の教えを示す。
呪は陀羅尼のことであり、総持・能持と漢訳される。よく善法を持して散失せず、悪法をさえぎる力の意味。
参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫