あかつき起きの文に五首贈答歌その二(3)和泉式部日記から

3.響きあふ鐘の声と
釈文:「鐘の声、鳥の音一つに響きあひて、さらに、すぎにし方今行く末のことども、かかるをりはあらじ、と袖のしづくさへあはれにめづらかなり。」

選字は「鐘の声 一つに飛ヽき阿日てさ羅耳春支に志 方いま行く末のこ登ヽも可か類を利者あ 良しと袖の志徒久さ遍阿者れ二免つら 可那里」

鑑賞:「すぎにし方」これまでもこれからも、このような時はまたとあるまい。「袖のしづくさへ」袖をぬらす涙のしずくまで。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社