あかつき起きの文に五首贈答歌その二(2)和泉式部日記から

2.妻戸を開けて
釈文:「とのみして明かさんよりは、とて妻戸をおしあけたれば、大空に、西へかたぶきたる月の影遠く、すみわたりて見ゆるに、きりたる空の気色」

選字は「登能三志て明可佐無よ利者と傳妻戸を おし阿希多れ盤大空耳西へ可堂ふ 支多流月の可遣登本久須三わ多里弖 見遊る爾記利多流空の希志支」

鑑賞:「とのみして」の「と」は「ただかりがねを聞く」を受ける。「妻戸(つまと)」は家の端の方にある開き戸。中庭に出入りする戸。「きりたる」は「空の気色」全体にかかる。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社