野分の風に(3)和泉式部日記から
3.日ごろの罪も
釈文:「例の、をり知りがほにのたまはせたるに、日ごろの罪も許しきこえぬべし。『嘆きつつ秋のみ空をながむれば 雲うちさわぎ風ぞはげしき』」
選字は「例のをり知利可 本二能多まはせ多流爾日許ろ農罪もゆ 類し支こ盈ぬへ志 那希支つヽ秋の美空をな可無れ盤 雲う地佐わき可世野楚者計志支」
鑑賞:「日ごろの罪」宮さまが女の元を訪れないことをさす。
歌意は「嘆きつつ」「ながむれば」宮さまの心象が光景としての「秋のみ空」「雲うちさわぎ風ぞはげしき」に象徴されている。
参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫