逢坂の関を越えてたづねてきた人は(4)和泉式部日記から

4.近くにいた時さえ
釈文:「いつか、出でさせ給ふ』とあり。近うてだに、いとおぼつかなくなし給ふに、かくわざとたづね給へる、をかしうて」

選字は「い徒可出て佐せ多ま不と阿里近うて堂二意と 於本つ可那久奈し給布爾か久王沙と多 つ年多満遍るを可志う天」

鑑賞:「近うてだに」宮さまの近くにいた時でさえ。

大意は「いつ、寺を出られるのでしょうか。』とあった。宮さまの近くにいた時でさえ、大層はっきりしない状態にわざとなさっていたのに、このようにわざわざた童をやって、たづねて来られるとは、興味深くて。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社