秋の寝覚め、夕べの訪問(12)和泉式部日記より

12.わたしは忘れない
釈文:「このほどに、おぼつかなくなりにけり。されど、『人はいさわれは忘れずほどふれど 秋の夕暮れありし逢ふこと』とあり。」

選字は「許乃本と爾 おほつ可奈久那里耳介利されと『飛登者い佐王連八わ須麗寸ほと布れと 秋農ゆ婦久れあ里し阿ふこ登』と愛里」

鑑賞:「人はいさ」は『古今集』(春上、紀貫之)「人はいさ心も知らず故里は花ぞ昔の香に匂ひける」によると思われる。

歌意は「あなた波動化、わかりませんが、わたしは秋の夕暮れにお逢いした、あの時のことを忘れはしません。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫