秋の寝覚め、夕べの訪問(6)和泉式部日記より

6.荻の風が
釈文:「女、『寝覚めねば聞かぬなるらんをぎ風は ふかざらめやは秋の夜な夜な』」

選字は「女 年佐めね者記可ぬ奈る羅無を支風盤 布かさら免や者あ支の夜奈よ那」

鑑賞:「招(を)く」は招く、「荻風」にかける。

歌意は「宮さまは物思いをしてお寝覚になられることもないので、お聞きにならないのでしょう。秋の夜ごとに『をぎ風』という宮さまを招く風が吹かないことなどありましょうか。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫