松山に波高しとは(4)和泉式部日記から

4.あなたが他の人に心を

釈文:「松山に波高しとは見てしかど けふのながめはただならぬかな」とあり。雨降るほどなり。」

選字は「『松や万耳波多可志とは見てしかと 希婦の奈閑免者堂ヽ那らぬ可奈』と阿里雨降る本と難利」

鑑賞:「君をおきてあだし心をわが持たば末の松山波もこえなむ」(古今集 大御所歌所 東歌)に拠る。「雨降るほどなり」宮の歌のながめに長雨をかけているという説明だが、歌にそれをかける必然性は見当たらない。

歌意は「末の松山に波が高いように、あなたがほかの男に心をかけていることは、かねてから知っていました。昨夜のことがあった今日の物思いは並大抵ではありません。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫他