鳥の羽に文をつけて(1)和泉式部日記より

1.鳥の音におどろかされて

釈文:「しばしありて、御文あり。『けさは鳥の音におどろかされて、にくかりつれば、殺しつ』とのたまはせて、鳥の羽に、御文をつけて」

選字は「し盤志安り天御文あ利希佐者鳥の音 爾於と露可され亭二具か里徒連八こ(流)ろしつ登の多まはせて鳥能羽耳御文を都介て」

鑑賞:「殺しつ」実際に殺したわけではない。楽府の「打殺長鳴鶏弾去」(読曲歌)を依拠したか。

大意は「少し経ち、宮からお手紙があった。『鳥の音に起こされて、悔しいので殺した』と仰せで、鳥の羽がお手紙についていた。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社