古より「鳥の音つらき」といふけれど(3)

4.宮の北の方は

釈文:「上は、院の御方にわたらせ給ふ、とおぼす。明けぬれば、『鳥の音つらき』とのたまはせて、やをらたてまつりておはしぬ。」

選字は「上は院の御方爾わ多ら勢多万ふと於本春 明希ぬ連八鳥の音徒ら支と能多ま八せて やを羅堂亭ま徒里てお者しぬ」

鑑賞:「上」唐突な表現であるが、宮の北の方をさす。ここでは、宮の正妻、北の方は冷泉院の方にお出なのだろうと思っている意。

「鳥の音つらき」は「恋ひ恋ひてまれに逢ふ夜の暁は鳥の音つらきものにざりける」(『古今六帖』五)を引用する。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社