つごもりの日、しのび音のほととぎす(8)和泉式部日記より
8.夜だからといって
釈文:「よとともに物思ふ人はよるとても うちとけてめのあふ時もなし」
選字は「夜登ヽ毛耳物思布人盤よ流とても 有千と幾傳め乃阿ふとき裳奈し」
鑑賞:掛詞が「よ」に「世」と「夜」、「よる」に「夜」と「寄る」、「め」に「女」と「目」、「あふ」に「合ふ」と「逢ふ」として、師宮の歌に呼応している。
歌意は「常に物思いにふけっている私のような女にとって、夜になったからといって、ゆっくり目をつぶって眠るような時間はないのです。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社