七枚の梶の葉に書いても(6)建礼門院右京大夫集より

6.七夕の習わしに

釈文:「思ふこと 書けどつきせぬ 梶の葉に けふにあひぬる ゆゑを知らばや」

選字は「お裳布こと書けとつき勢ぬ梶の 葉耳介ふにあ飛ぬる遊衛をしら八 や」

鑑賞:七夕には梶の葉に歌を書いて彦星と織女星に供える風習がある。「たなばたのとわたる舟の梶の葉にいく秋書きつ露のたまづさ」(藤原俊成『新古今集』秋上)がある。

歌意は「七枚に梶の葉に書いても書きつくせないほど、思うことがあふれる私の命も果てず、今年もまた、この季節が巡ってきたわけを知りたい。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社