彦星と織女が出逢ふ・六首〜十二首を書いて(4)建礼門院右京大夫集より
4.いもの葉におりた露は
なんともおもむきのある習わし、とりわけ書を嗜む方には。
釈文:「おしなべて 草叢ごとに 置く露の いもの葉しもの けふにあふらむ」
選字は「おし難遍て久佐無らこ登爾 於具露のいも能葉しも乃けふ爾あ布らむ」
鑑賞:「いもの葉の露」は里芋の葉に置いた露を狗児草(ゑの子こぐさ)で包み、織女星に供え、この露を硯の水に用いて梶の葉に詩歌や願い事を書いて七夕の星にたむける風習があった。
歌意は「これほど草叢には全体に露があるのに、どうして芋の葉におりた露だけが、七夕のに日に供えられる今日の幸運に恵まれたのだろう。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社