続・蘇軾にみる精神性(6)黄州寒色詩巻(其のニ)より

6.慟哭しようにも

黄州寒食詩巻 蘇軾筆 祥香臨

釈文:「也擬哭塗窮
    死灰吹不起」

書き下し文は「也(ま)た塗(みち)の窮するに哭せんと擬(ほっ)するも 死灰吹けども起(た)たず」

解説:「哭塗窮」は中国三国時代の思想家である阮籍は、あてもなく馬車を走らせ遠出をすることを好んだが、行き止まりにあうと慟哭して帰ったことをさす。

「死灰吹不起」は火が消えた灰はいくら吹いてもまた燃え上がることはない。

『史記』韓長儒列伝に、韓安国が法に触れ投獄されたとき獄吏から辱めを受けたので、「死灰復燃」(火の消えた灰が再び燃え上がることがある)と言ったところ、獄吏が「燃えたら小便をかけてやろう」と言ったとある。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社