続・蘇軾にみる精神性(3)黄州寒食詩巻(其のニ)より

3.台所で

黄州寒食詩巻 蘇軾筆 祥香臨

釈文:「空包煮寒菜
    破竃焼湿葦」

書き下し文は「空包 寒菜を煮
       破竃 湿葦を焼く」

現代語にすると、「人のいない台所で質素な野菜を煮ようと
       こわれたかまどに湿った葦を焚き付ける。」

鑑賞:「破竈」こわれたかまどのこと。「破」と「竈」はひときわ大きく伸びやかである。その後は、「葦」まで横幅が狭く展開している。ここで一段落の意があるのかもしれない。

参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社