風がおびただしく吹く夢を見て(4)建礼門院右京大夫集を書いて

4.源氏方の一行が

建礼門院右京大夫集 祥香書

源氏方の追討が容赦なく平家一門を追い詰めていきます。
「恐ろしきもののふども、いくらも下る。何かと聞けば、いかなることをいつ聞か
 むと、かなしく心憂く、泣く泣く寝たる夢に」

選字は、「恐ろし支裳能ヽ布と毛い具羅も
     久たる何かと聞希者い可那ることをい
 
     徒き可むと可難し久心憂久泣具ヽヽ
     寝多る夢に」

大意は、源氏方の武者達が西国へ多数向かいます。何やら悲しいことをいつ聞くのかと、つらく情けない。泣きながら見た夢に」

鑑賞:平家討伐を掲げた源氏の軍は、寿永二年(1183)に義仲が京へ攻め上りましたが、十月には備中水島で平家に敗れ、翌年義仲を討った範頼、義経軍が一ノ谷の戦いで平家を敗退させます。

目まぐるしい戦況の変化に心落ち着かぬまま、つらい気持ちの作者が夢を見ます。
 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社