恋人の愛情が信じられず(3)建礼門院右京大夫集を書く

3.こちらの期待にそぐわず

建礼門院右京大夫集 祥香書

この頃、資盛の気持ちがわからなくなり、
 「人の心の思ふようにもなかりしかば、『すべて知られず知らぬむかしになしはててあらむ』など思ひし頃」

選字が、「人のこヽろ乃於もふやう爾毛な可りし可八
    春遍弖志られ寸し羅ぬ无可四にな
    し盤てヽあらむなとおも飛しこ路」

挿入されている歌は、西行の『疎くなる人を何とて恨むらむ知られず知らぬ折もありしに』「新古今和歌集」(恋四1297)

大意は、資盛の愛情が信じられなくなったので、全て昔のように何も知らなかった頃に戻してしまおう、などと思っていた時。

作者にとっては、西行の歌はくちずさみ親しんでいた古歌のひとつだったのでしょう。作者の素養が偲ばれます。

 参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社