自分の存在を忘れる(2)荘子・物を斉しくする
2.大空を仰いで
「南郭子棋、隠几而坐、仰天而嘘、
嗒焉似喪其偶」
読み下し文は、「南郭子棋、几に隠りて坐し、天を仰いで嘘(息)す。
嗒焉として其の偶(からだ)を喪(わす)るるに似たり。」
現代語にすると、南郭子棋が肘掛けにもたれて坐り、大空を仰いで太い息をはいた。茫然として、まるでその肉体の存在を忘れたかのようだ。
「南郭子棋」:南郭は城郭の南はずれ。そこに住んでいるので呼び名となった。
肉体を忘れたように見える茫然とした様子は、弟子にも不思議に写ったことでしょう。その時、ご本人はどうだったのでしょうか。
参考文献:荘子 金谷治訳注 岩波書店