月明かりにうたげの追憶(8)建礼門院右京大夫集を書く
8.歌を詠めないものは
皆さん、なんでもいいから歌を書きなさい、と隆房に促され、もじもじと尻込みしていたのは権亮経盛です。あからさまに、こう言います。
釈文「権亮は、『歌もえよまぬ者はいかに』といはれしを、なほせめられて、」
大意は、経盛は「自分の様に歌も詠めないものはどうしよう」といわれましたが、なおも催促されて。
先の場面では、経盛は朗詠していたのですが、ご自分で作られるのは、あまりお得意でなかったのでしょう。少しお気の毒ですが、お歌をご自身で読まれます。
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江 新潮社