万葉集の相聞歌(8)金沢本を臨書して

8.黒髪が
釈文:「在管裳君乎者将待打靡吾黒髪爾霜 乃置萬代日」

書き下し文は「在管裳(ありつつも)君乎者将待(きみをばまたむ) 打靡(うちなびき)吾黒髪爾(わがくろかみに)乃置萬代日(しものおくまで)」

鑑賞:磐姫の御歌と仮定すれば、天皇の御帰りを待つ気持ちを切々と詠った情熱的な歌と考えられる。一方で、作者が磐姫ではないとすると、帰らぬ人をひたすら待つ情趣が感じられ、しんみりとした歌と解される。

参考文献:万葉秀歌(一) 久松潜一著 講談社学術文庫