なぐさめに古歌を贈答歌として(2)和泉式部日記を書いて
2.ああ何という
釈文:「あな恋し今も見てしが山がつの 垣ほに咲ける大和撫子」
選字は「あ奈恋しい万裳見て斯可山か徒の 閑支保二咲希流やま登奈傳志こ」
鑑賞:この歌は『古今集』(恋四 よみ人しらず)に同じ歌が所収されている。そのまま贈答歌としているが、下の句がややふさわしくない。古歌を転用する方法は『源氏物語』空蝉などにもみられる。
歌意は「ああ何という恋しさだろう。山家の垣根に咲いていた大和撫子のようなあの女に。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社
