のどやかに降る雨(1)和泉式部日記から

1.みぞれ立つ
釈文:「みぞれ立つ雨の、のどやかに降るほどなり。いささかまどろまで、この世ならずあはれなることを、のたまはせ契る。」

選字は「み楚れ多遅たる雨能ことや可二降る 保と奈梨 い佐ヽかま登路万弖この世那ら春あ者 禮奈流こと越農多満者せ千支類」

鑑賞:「のどやか」のどかに同じ。宮の来訪によって穏やかな心持ちで心配事がない様子。

「いささかまどろまで」わずかなひまも惜しんで眠ろうともせず。「この世ならず」「あはれ」にかかる強調句。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社